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営業のスケジュール

食品メーカーの仕事

 ここでは、食品メーカー営業のスケジュール例を見てみましょう。

年間スケジュール例

 営業は自社製品の売上を伸ばすことが仕事と言えます。そのため、小売店に対して①自社製品を1品でも多く導入する、②既に入っている商品をより売れるように販促提案をする、の2つの行動が肝となり、そのための営業活動を行います。以下が、年間スケジュールの例になります。

4月 担当者挨拶、春夏棚替え完了
7月 春夏新商品プレゼン
8月 春夏棚割
9月 春夏キャラバン(スーパー棚替え時期)
10月 秋冬棚替え完了
1月 秋冬新商品プレゼン
2月 秋冬棚割
3月 秋冬キャラバン(スーパー棚替え時期)

 上記がざっくりとした、営業にとって重要な活動のスケジュールになります。
※もちろんこれだけをしているわけではなく、月ごとに様々な活動があります。あくまで営業の大まか
 な流れを知ってもらうためにメインイベントのみをピックアップしました。
ここからは、各項目の解説をしていきます。

担当者挨拶

 メーカー・問屋・スーパー共に基本的には異動があります。それは、地域間異動、部署間異動など様々ありますが担当者が変わることは珍しいことではありません。営業は人との繋がりが命である部分もあるので、その担当者が変わるとまずは一度挨拶、名刺交換をしていくことは重要となります。そしてそれは、お客さんに限らず、逆に自分の異動・担当変更もあるため、新担当として挨拶または後任者への引継ぎも発生します。そういった、担当者変更に伴う挨拶はやはり、異動の多い時期である4月頃は増えていく活動となります。

棚替え

 スーパーの棚は基本的に春夏と秋冬の年2回商品が変わることが多く、時期としては、4月~9月が春夏の棚、10月~3月が秋冬の棚になります(企業によってタイミングは前後しますが)。カテゴリーによって変わり幅は違いますが、一番わかりやすい例で言うと、春夏はそうめんやめんつゆの棚が、秋冬になると鍋つゆに変わるといったように季節柄に合わせた棚に変わります。

新商品プレゼン

 スーパーの棚替えの時期に合わせてメーカーも新商品を出すことが多く(春夏新商品と秋冬新商品の2回出すことが多いです)、その新商品をスーパーのバイヤーに案内する機会のことを新商品プレゼンと言います。バイヤー側も毎回バラバラと新商品の提案を聞くのも手間であるので、多くのメーカーが新商品を出すこのタイミングでプレゼンの機会を設け一気に話を聞くといった流れになります。だいたい棚替えの2~3か月前に新商品プレゼンが開かれることが多いため、秋冬の新商品プレゼンは7月頃、春夏の新商品プレゼンは1月頃といった傾向になります。(都会のスーパーはプレゼン時期が早く、地方のスーパーはプレゼン時期が遅いといった印象です)

棚割

 スーパーの棚に並べる商品・その配置を決めることです。プレゼンで各メーカーの新商品の説明を聞き、その後の棚割でどの商品を入れるか、逆に今まで入っていた商品をカットするかなどを決めるといった流れが一般的になります。そのため、棚割の時期はだいたいプレゼンの1か月後あたりであることが多く、秋冬の棚割が8月頃、春夏の棚割が2月頃であることが多いです。
 この棚割のやり方は企業によって様々で、実際の棚を使って商品を並べて決めていく方法、そして「棚パワー」や「ストアマネージャー」といった市販の棚割ソフトを使ってコンピューター上に棚を再現して決める方法などがあります。また、棚割を実施する人も様々であり、スーパーのバイヤーだけで決める場合もあれば、バイヤーと問屋で決める方法、バイヤーとカテゴリーリーダー(各カテゴリーごとの主要メーカーを決め、そのメーカーがそのカテゴリーのリーダーとして、売上が上がるよう棚割に参加すること)で決める方法などがあります。
 棚割において重要なことは、商品のサイズ・棚の高さを考えることで、棚割で確定した棚が実際に店舗で反映されるため、並べたときに商品が入らなかったり逆に隙間がスカスカに空いたりすると見栄えも悪くなってしまいます。こういったこともあり、棚割の際は入れたい商品を入れるだけではなく、全体のバランス等を考えていく必要があるのです。

キャラバン

 実際の店舗の棚を、棚割で決まった棚に変更しに行くこと、その作業のことをキャラバンと言います。つまり、春夏(秋冬)の棚を秋冬(春夏)の棚に変えることです。これは必ずある訳ではなく、店舗の従業員の方々が行うこともあります。キャラバンがある企業の場合は、バイヤーとともに各メーカーが一緒に店舗に行き棚の変更をするパターン、メーカーがキャラバンを任せられ分担して店舗に行くパターン、カテゴリーリーダーのメーカーが担当カテゴリーの棚を全て作業しに行くパターンなど様々です。
 

月間スケジュール例

 次は月間のスケジュール例を参考に営業のやらなければいけないことを説明します。

月初 ・実績確認、報告
   ・未収条件確認
月中 ・月次商談
月末 ・詰め作業

上記を見ると何ともボリュームのない仕事に見えますが、これはあくまでも月の中で起こる必須(に近い)作業をピックアップしているだけなので、これ以外にも商談・事務処理・陳列応援などやることは様々です。

実績確認、報告

 メーカーは、問屋・スーパーに対して「年契(約)」を結ぶことがあります。これは、契約期間内に取引額に対して〇%のお金を(メーカーが)問屋・スーパーに支払う、また○○円達成すればさらに〇%支払うといった契約です。
そして、そうした契約を結んでいる場合に、その契約の進捗を相手に報告する必要があるため、実績確認、報告といった作業が必要となってきます。そして、実績というのは基本的に月末で結果が締められ、まとめられるため、この作業は結果が締まり確定した後の月初に行われることが多いです。

未収条件確認

 商品がスーパーに卸される際に、得意先の希望納価にするために「条件」というものが発生すると、見積の作り方①にて説明しました。この「条件」は、問屋からスーパーに商品が下ろされた時に発生するものであり、それを月ごとにまとめて問屋からメーカーに請求が来ます。そして、条件は卸先および商品によってバラバラであるため、その請求が間違っていないかメーカーの営業が請求書を確認する作業を「未収条件確認」などと呼びます。
 条件書(それぞれの条件が記載された請求書)は月ごとに発行されるため、基本的に月末にまとめられ月初に問屋からメーカーへ送られるので、この未収条件確認は月初に行われる作業となります。例えば、7月中に問屋からスーパーへ卸された商品の条件は7月度の条件書に記載され、それが8月の頭にメーカーに送られるといった流れになります。
 この作業が必要な理由は、問屋も人間なので条件を間違えて請求することもあり、特にメーカーが本来の見積より高い条件額を請求されていた場合は会社の損失となってしまうので、それを防ぐための確認作業となります。問屋によっては、毎月〇日までにこの条件書の請求額で間違いないか連絡をする必要がある所もあるので、問題なければ問題なしと、違っていれば条件書を突き返すといった作業が生まれます。
 こういった作業も営業がするのかと思われる方もいるかもしれませんが、条件を記入した見積を作っているのは営業であるため、ほとんどのメーカーは営業が行っております。

月次商談

 スーパーによりますが、基本的に毎月定期商談の機会を設けてくれる所は少なくありません。というのも、スーパーは毎月特売やチラシを行っているため、その特売商品を選定していく必要があり、商談会を設けることでメーカーから様々な提案を受けることができます。メーカーとしても販促のために、そしてバイヤーとのコミュニケーションの場として、定期商談・月次(ごとの)商談に参加することも毎月の業務となります。
 もちろん、予定もあるので必ずしも参加しないといけない訳ではなく、逆に枠がいっぱいで参加したくても呼ばれないこともあります。
 この月次商談は、だいたいは1~2か月後の企画及び販促に対する話がメインになってきます。例えば、8月に行われる月次商談は、9,10月に向けての商談となります。このように時差ができるのは、販促が決まってもメーカーによる商品準備そして配送、スーパー側の棚の準備など時間がかかるためです。こういった点からも、メーカー営業は常に2か月ほど先のことを考えて動いていく必要があります。

詰め作業

 詰め作業とは、月末に売上をつくるために問屋にお願いをして商品を取ってもらうことを指します。営業は基本的に毎月目標金額があるため、月末で売上が足りない場合はなんとか差額を埋めようとします。そういった時に問屋に、いくつか注文をとってくれないかとお願いすることがあります。売上を詰めるといったイメージから詰め作業と言われることが多いです。
 多くのメーカーは自社から商品が出荷されれば、売上としてカウントされるため、問屋の倉庫に入ればそれがその時点ではスーパーに届けられなくても詰め作業としては成立します。そしてその詰めた商品は問屋の在庫として翌月からスーパーへ徐々に配送されていきます。もちろん、問屋も過剰に在庫は持ちたくないので、詰め作業の際は問屋との関係性・信頼度も重要となります。
 最近は、目標売上・ノルマに対してそこまで厳しくない企業も多くなっていると思うので、この詰め作業は必ずしないといけないものではありません。また、結局月末に無理に詰めると、在庫が掃けてから注文になるため、結局翌月がしんどくなるだけということもあり、筆者としてもあまり重要な作業とは思えません。

 

 このように、メーカー営業はお客様であるスーパーの動きに合わせるため、年間・月間を通してある程度ルーティンのような働き方になることが多いです。

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